あなたは「色盲テストをネットで検索してみようかな」と思ったことはありませんか?結論、ネット上の色覚テストは検索してはいけません。この記事を読むことで、なぜネット検索が危険なのか、そして正しい色覚検査の受け方がわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
Contents
1.色盲テストを「検索してはいけない」理由とネット検査の落とし穴

ネット上の色覚テストが抱える深刻な精度問題
ネット上には「あなたは大丈夫!?色覚テスト!」のような魅力的なタイトルの色覚テストサイトが数多く存在しています。
しかし、これらのテストには重大な精度の問題があります。
専門家による指摘では、ネット上の色覚テストは「大抵色覚をテストしていない」とされています。
なぜなら、色覚検査には厳密な条件設定が必要だからです。
正式な色覚検査では、検査距離、照明条件、色彩の正確性など、すべてが医学的に標準化されています。
ところが、ネット上のテストではこれらの条件を満たすことが不可能なのです。
さらに深刻なのは、不正確な結果によって不必要な不安を抱く人が増えていることです。
特に2003年以降に学校での色覚検査が義務でなくなった世代は、自分の色覚特性を知らないまま成人しているため、ネットテストの結果に過度に依存してしまう傾向があります。
モニターの色表示と実際の検査の違いが生む誤診リスク
パソコンやスマートフォンのディスプレイは、実際の検査用印刷物とは根本的に異なる発色方式を使用しています。
医療機関で使用される石原式色覚検査表は、特殊な印刷技術によって正確な色彩が再現されています。
一方、デジタルディスプレイは光の三原色(RGB)による加法混色で色を表現するため、検査に必要な微細な色の違いを正確に再現することができません。
また、モニターの設定、環境光、視聴角度などの要因によって色の見え方が大きく変わってしまいます。
これらの要因により、正常な色覚を持つ人でも「色覚異常」と誤診される可能性があり、逆に色覚異常のある人が「正常」と判定される危険性もあります。
医学的根拠のない結果に基づいて重要な判断を下すことは、非常に危険です。
不正確な結果による不安の増大と誤解の拡散
ネット上の色覚テストで「異常」の判定を受けた人の多くが、過度の心配や絶望感を抱いてしまうという問題が指摘されています。
色覚異常は日本人男性の約5%、女性の約0.2%に見られる一般的な特性であり、日常生活にほとんど支障をきたさないものです。
しかし、不正確なネットテストの結果により、「自分は重篤な病気なのではないか」「将来に希望が持てない」といった誤解を抱く人が増えています。
さらに深刻なのは、間違った情報が拡散されることで、色覚異常に対する偏見や差別が助長される可能性があることです。
正確な知識なしに「色盲」という言葉だけが一人歩きし、不適切な理解が広まってしまうリスクがあります。
「検索してはいけない」と言われる本当の理由
「色盲テスト 検索してはいけない」と言われる最大の理由は、医学的に無意味であるだけでなく、有害な結果をもたらす可能性があるからです。
具体的には以下のような問題があります:
- 偽陽性(正常なのに異常と判定)による不必要な不安
- 偽陰性(異常があるのに正常と判定)による適切な対応の遅れ
- 不正確な情報に基づく職業選択や人生設計
- 色覚異常に対する誤った理解の拡散
また、娯楽目的で作られた「色彩感覚テスト」と医学的な色覚検査が混同されることも問題です。
「4色型色覚テスト」や「色彩能力テスト」などは、医学的な色覚検査とは全く異なるものですが、多くの人がこれらを同一視してしまっています。
真に自分の色覚特性を知りたい場合は、必ず医療機関での正式な検査を受けることが重要です。
2.正しい色覚検査とは?医療機関での検査の重要性

石原式色覚検査表の正しい使用方法と条件
石原式色覚検査表は、1916年に医学者の石原忍によって開発された世界標準の色覚検査法です。
この検査表は1933年の第14回国際眼科学会で認定され、現在でも世界中の医療機関で使用されています。
正しい石原式検査には、以下の厳格な条件が必要です:
- 検査距離:75cm(正確に測定された距離)
- 照明:自然光または標準光源(蛍光灯や LED ではなく)
- 検査時間:各表につき3秒以内
- 検査環境:反射や影のない適切な環境
医療機関では、これらの条件がすべて管理された環境で検査が行われます。
全25表を使用し、誤読数によって正常か異常かを正確に判定します。
また、検査を実施するのは訓練を受けた視能訓練士や医師であり、被検者の反応や状態を総合的に評価することができます。
眼科でのスクリーニング検査と精密検査の違い
眼科での色覚検査は、段階的に実施される体系的なアプローチを取ります。
第一段階:スクリーニング検査
- 石原式色覚検査表:1型・2型色覚異常の検出
- 東京医科大学式色覚検査表:1型・2型・3型の検出と程度判定
- 目的:色覚異常の疑いがあるかどうかの判定
第二段階:精密検査(詳細検査)
- パネルD-15:色の配列による型と程度の分類
- 100ヒューテスト:微細な色相の識別能力測定
- アノマロスコープ:確定診断のための精密機器検査
スクリーニング検査で異常が疑われた場合のみ、精密検査が実施されます。
これにより、色覚異常の有無だけでなく、その種類と程度を正確に把握することができます。
医療機関での検査では、単純な正常・異常の判定ではなく、個人の色覚特性を詳細に理解することが可能です。
アノマロスコープとパネルD-15による確定診断
アノマロスコープは、色覚異常の確定診断に使用される最も精密な検査機器です。
この装置では、被検者が上下2つの視野を見ながら、一方の黄色光と他方の赤緑混合光を調整して同じ色に見えるポイントを探します。
正常色覚者と色覚異常者では、同じ色に見えるポイントが明確に異なるため、客観的で確実な診断が可能です。
パネルD-15は、15個の色付きキャップを順番に並べる検査です。
色覚異常者は特定の色相で混同を起こすため、その並べ方のパターンから色覚異常の型と程度を判定できます。
これらの精密検査により、以下のことが明確になります:
- 1型色覚異常(プロタン):赤色系の感度異常
- 2型色覚異常(デュータン):緑色系の感度異常
- 3型色覚異常(トリタン):青色系の感度異常(極めて稀)
- 異常の程度:軽度、中等度、強度の分類
色覚異常の種類と症状の正確な把握方法
色覚異常は「色盲」という名称から連想されがちな「色が全く見えない」状態ではありません。
実際には、特定の色の組み合わせで判別が困難になるという特性です。
先天性色覚異常の主な特徴:
- 赤と緑の判別困難(1型・2型色覚異常)
- 青と黄の判別困難(3型色覚異常)
- 明度差による代償的判別能力
- 進行しない安定した特性
医療機関での検査では、どのような色の組み合わせで困難が生じるかを具体的に把握できます。
例えば、信号機の赤と黄色の判別、焼肉の焼き加減、紅葉の色合いなど、日常生活での具体的な影響を評価することが可能です。
また、職業上の制限がある分野についても、専門医から適切な情報提供を受けることができます。
これらの情報により、色覚異常があっても適切な対策を立てて充実した生活を送ることが可能になります。
3.色覚異常に関する正しい知識と理解

日本人男性20人に1人が該当する色覚多様性
色覚異常は決して珍しいものではなく、日本人男性の約5%(20人に1人)、女性の約0.2%(500人に1人)に見られる一般的な特性です。
これは日本全体で約500万人以上の人々が該当することを意味しています。
男性に多い理由は遺伝的メカニズムにあります。
色覚に関する遺伝子はX染色体上にあるため、男性(XY)は1つのX染色体に異常があれば色覚異常となりますが、女性(XX)は2つのX染色体の両方に異常がないと色覚異常になりません。
現在では「色覚多様性」という概念で理解されており、これは色の感じ方の違いを個性として捉える考え方です。
実際に、色覚異常者の中には、一般的な色覚を持つ人には見えない微細な違いを識別できる人もいることが知られています。
例えば、カモフラージュ(迷彩)の識別能力や、特定の条件下での視認性において優れた能力を示すケースが報告されています。
社会全体として、この多様性を理解し、包括的な環境づくりを進めることが重要とされています。
先天性と後天性色覚異常の基本的な違い
色覚異常は発症時期と原因により、先天性と後天性に大きく分類されます。
先天性色覚異常の特徴:
- 遺伝によるもので、生まれつき存在
- 視機能の他の部分は完全に正常
- 進行することがなく、一生変化しない
- 両眼同程度の症状
- 全体の95%以上を占める
後天性色覚異常の特徴:
- 眼疾患や全身疾患が原因
- 視力や視野にも異常を伴うことが多い
- 進行性の場合がある
- 片眼のみ、または左右差がある場合が多い
- 治療により改善する可能性がある
後天性色覚異常の主な原因疾患には、緑内障、白内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性などがあります。
これらの場合は、原疾患の治療が色覚改善につながる可能性があるため、早期の眼科受診が重要です。
先天性色覚異常は治療の対象ではなく、特性として理解し、適応していくものです。
一方、後天性の場合は治療可能な場合があるため、色覚の変化に気づいた場合は速やかな医療機関受診が必要です。
色覚異常者の実際の見え方と日常生活への影響
色覚異常者の世界は「白黒の世界」ではありません。
多くの色は正常に見えており、特定の色の組み合わせでのみ判別が困難になるというのが実情です。
1型・2型色覚異常者の典型的な見え方:
- 赤と緑の判別が困難(特に暗い条件下)
- 茶色と緑色の混同
- 赤いボールペンと黒いボールペンの判別困難
- 信号機の赤と黄色の区別(位置で判断)
日常生活での具体的な影響例:
- 料理:肉の焼き加減、野菜の熟度判定
- 交通:信号機、道路標識の色分け
- 仕事:色分けされた配線、グラフや図表
- 教育:黒板の赤チョーク、色鉛筆の使い分け
しかし、多くの色覚異常者は代償機能を発達させています:
- 明度(明るさ)による判別
- 形状や位置による識別
- 文脈からの推測
- 経験による学習
実際の調査では、色覚異常者の多くが日常生活で大きな不便を感じていないことが分かっています。
重要なのは、自分の特性を理解し、必要に応じて適切な対策を取ることです。
治療の可能性と代償能力による適応方法
先天性色覚異常に対する根本的な治療法は現在のところ存在しません。
これは視細胞の遺伝的特性によるものであり、手術や薬物療法では改善することができません。
しかし、様々な補助手段や代償方法により、日常生活の質を向上させることは十分に可能です。
技術的補助手段:
- 色覚補正メガネ:特定の波長をフィルターすることで色の判別を改善
- スマートフォンアプリ:色を音や振動に変換する支援技術
- 色識別デバイス:色を音声で読み上げる機器
環境的配慮と代償戦略:
- 色以外の情報併用:形状、模様、文字による識別
- 照明条件の改善:十分な明るさでの作業
- 色の組み合わせ選択:判別しやすい色彩の選択
- 周囲の理解と協力:職場や学校での配慮
現在研究中の将来的治療法:
- 遺伝子治療:実験段階だが動物実験で効果を確認
- 再生医療:視細胞の再生による機能回復
- デジタル技術:拡張現実(AR)を利用した色情報補完
最も重要なのは、色覚異常を「障害」ではなく「特性」として理解し、社会全体でサポートする環境づくりです。
多くの色覚異常者が、適切な理解と少しの配慮があれば、あらゆる分野で活躍できることが実証されています。
4.適切な色覚検査を受けるための具体的な行動指針

眼科受診のタイミングと検査を受けるべき人
色覚検査を受けるべき具体的なタイミングは以下の通りです:
必須で受けるべき人:
- 学校での色覚検査で異常を指摘された人
- 家族に色覚異常者がいる人(遺伝的リスク)
- 色を重要視する職業を希望する人(デザイナー、パイロット、医師など)
- 色の見え方に違和感を感じている人
推奨される受診タイミング:
- 小学校高学年〜中学生:進路選択前の把握
- 高校生:職業選択や進学前の確認
- 就職前:職業適性の確認
- 定期健康診断時:他の眼科検査と併せて
緊急性のある症状:
- 急に色の見え方が変わった(後天性色覚異常の可能性)
- 片眼だけ色が違って見える
- 視力低下と同時に色覚に変化
- 眼痛や充血とともに色覚変化
職業上特に重要な分野:
- 航空関係:パイロット、航空管制官
- 医療関係:医師、看護師、臨床検査技師
- 交通関係:電車運転士、船舶操縦士
- 電気関係:電気工事士、電子技術者
これらの職業では色覚検査が必須または推奨されているため、事前の確認が重要です。
色覚検査対応医療機関の選び方と予約方法
適切な色覚検査を受けるための医療機関選びのポイント:
必要な設備・人材:
- 石原式色覚検査表の完全版(25表すべて)
- パネルD-15などの精密検査機器
- 訓練を受けた視能訓練士の在籍
- 適切な検査環境(照明、距離設定)
推奨される医療機関タイプ:
- 大学病院眼科:最も充実した検査体制
- 総合病院眼科:一般的な検査は十分対応可能
- 専門眼科クリニック:色覚検査に力を入れている施設
- 学校医指定眼科:学校検診に対応している施設
予約時の確認事項:
- 「色覚検査希望」と明確に伝える
- 精密検査の対応可否を確認
- 検査時間の目安を確認(通常30分〜1時間)
- 費用の確認(保険適用の場合が多い)
予約の際の注意点:
- 色覚検査は予約優先の施設が多い
- 午前中の受診が推奨(自然光条件が良好)
- 時間に余裕を持った予約(待ち時間考慮)
- 学校からの紹介状がある場合は持参
インターネットでの医療機関検索方法:
- 「地域名 + 色覚検査 + 眼科」で検索
- 病院のホームページで対応可否を確認
- 口コミサイトでの評判確認
職業選択や進路決定における色覚検査の活用法
色覚検査の結果は、職業選択において重要な判断材料となります。
ただし、色覚異常があることが直ちに職業選択を制限するものではないことを理解することが重要です。
色覚検査結果の活用方法:
自己理解の促進:
- 自分の色覚特性の正確な把握
- 日常生活での対処法の習得
- 強みとなる分野の発見
- サポートが必要な場面の特定
進路選択への活用:
- 制限のある職業の事前確認
- 代替手段の検討
- 適性のある分野の探索
- 必要な準備期間の確保
現在の職業制限状況:
- 法的制限のある職業:航空機操縦士、船舶操縦士など(一部)
- 事実上制限のある職業:一部の医療職、電気工事関係など
- 制限が緩和された職業:警察官、消防士、教師など(多くの場合)
職業選択時の対策:
- early planning:早期からの情報収集と準備
- 代替スキルの習得:色以外の判断基準の習得
- 技術的補助の活用:支援機器やアプリの利用
- 職場理解の促進:上司や同僚への説明と協力要請
成功事例の参考:
多くの色覚異常者が、適切な理解と対策により希望する職業で活躍しています。
重要なのは、制限があることを認識した上で、適切な準備と対策を講じることです。
検査後の適切な対応と専門医からの指導内容
色覚検査の結果に関わらず、適切な対応とフォローアップが重要です。
正常と判定された場合:
- 定期的な健康チェックの継続
- 後天性色覚異常への注意
- 色覚多様性への理解促進
- 周囲の色覚異常者への配慮
色覚異常と診断された場合の対応:
immediate response(直後の対応):
- 結果の正確な理解:医師からの詳しい説明
- 日常生活への影響評価:具体的な困難場面の特定
- 家族への説明:遺伝的側面も含めた理解促進
- 心理的サポート:不安や心配への適切な対処
専門医からの指導内容:
- 色覚異常の種類と程度の詳細説明
- 日常生活での注意点とコツ
- 職業選択時の考慮事項
- 家族計画時の遺伝相談
- 定期フォローの必要性
長期的な対応計画:
生活面での対策:
- 照明環境の改善:十分な明るさの確保
- 色標記以外の判別方法習得:形、位置、文字による識別
- 支援技術の活用:アプリやデバイスの利用
- 周囲への理解促進:必要に応じた説明と協力要請
教育・職業面での対策:
- 進路相談での情報共有
- 職業適性の再評価
- 必要なスキルの習得計画
- キャリアプランの柔軟な見直し
定期フォローアップ:
- 年1回程度の眼科検診:他の眼疾患の早期発見
- 生活状況の変化に応じた相談
- 新しい支援技術の情報提供
- 心理的サポートの継続
重要なポイントは、色覚異常は「治すもの」ではなく「理解し適応するもの」であることです。
適切な理解と対策により、色覚異常があっても充実した人生を送ることは十分に可能です。
まとめ
本記事で理解すべき重要なポイントをまとめます:
• ネット上の色盲テストは医学的に不正確で、検索すべきではない
• モニターの色表示と実際の検査には根本的な違いがあり、誤診リスクが高い
• 正確な色覚検査は眼科での石原式検査表を用いた標準化された手法が必要
• 色覚異常は日本人男性の20人に1人が該当する一般的な特性である
• 色覚異常者の世界は白黒ではなく、特定の色の組み合わせでのみ判別困難がある
• 先天性色覚異常に治療法はないが、適切な理解と対策で十分な適応が可能
• 職業選択時は事前の色覚検査により適切な準備と対策を講じることが重要
• 眼科での検査は段階的に実施され、スクリーニングから精密検査まで体系的に行われる
• 色覚検査の結果は自己理解と適切な人生設計のための貴重な情報源となる
• 社会全体での色覚多様性への理解促進が包括的な環境づくりにつながる
色覚に関する正しい知識を持ち、適切な検査を受けることで、あなた自身やあなたの大切な人がより良い人生を歩むことができるでしょう。不安に思うことがあれば、迷わず専門医に相談することが最も確実で安全な選択です。

