あなたは「今年のインフルエンザの症状はいつもと違う気がする」と思ったことはありませんか?結論、2024年のインフルエンザは例年とは異なる特徴的な症状が報告されています。この記事を読むことで2024年のインフルエンザの症状や見分け方、適切な対処法がわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
Contents
1.インフルエンザ 症状 2024年最新版|今年の流行傾向と基本知識

2024年のインフルエンザ流行状況
2024年のインフルエンザは例年より早期から大流行が始まっています。
東京都感染症情報センターの報告によると、2024年11月14日時点でインフルエンザ患者の増加に注意が必要な状況となっており、感染拡大のスピードと感染力の強さが懸念されています。
今年の特徴的な流行パターンとして、これまでとは異なり大人の感染者が急増していることが挙げられます。
従来は学校や保育園などの集団生活を通じて子どもから親へ感染が広がるケースが多かったのですが、2024年は大人同士の接触から感染拡大している可能性が高いとされています。
コロナ禍が明けて海外観光客の数が増加し、忘年会など人が集まるイベントも復活したことで、体内に免疫を持っている人が少なくなっている分、一度感染者が出るとどんどん感染爆発してしまう恐れがあります。
インフルエンザの基本的な症状
インフルエンザの症状は38℃以上の急激な発熱が最大の特徴です。
国立感染症研究所の報告基準では、突然の発症・高熱・上気道炎症状・全身倦怠感等の全身症状を全て満たすか、症状を全て満たさなくても迅速診断キットにより病原体の抗原が検出された場合にインフルエンザ患者と診断されます。
主な症状は以下の通りです:
- 38℃以上の発熱(84.7%の患者に見られる)
- 頭痛
- 全身倦怠感
- 筋肉痛・関節痛
- 咳・鼻汁などの上気道症状
- 悪寒・寒気
これらの症状が急速に現れることがインフルエンザの大きな特徴で、ある日突然「体がとても重い」「しんどい」という感覚になることが多い病気です。
風邪との症状の違い
インフルエンザと普通の風邪では症状の現れ方に明確な違いがあります。
普通の風邪は様々なウイルスによって起こり、のどの痛みや鼻汁・くしゃみ・咳などの症状が中心で、全身症状はあまり見られません。
発熱もインフルエンザほど高くなく、じわじわと発症するのが特徴です。
一方、インフルエンザは38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が突然現れます。
普通の風邪が咳や鼻水など上気道の症状から始まるのに対し、インフルエンザは発熱や全身の痛み・悪寒などから出現するのが大きな違いです。
また、風邪では重症化することはあまりありませんが、インフルエンザでは高齢者や小さな子どもで肺炎や脳症などの合併症を引き起こす恐れがあります。
潜伏期間と発症経過
インフルエンザの潜伏期間は通常1~3日間です。
インフルエンザウイルスに感染してから症状が出現するまでの期間は比較的短く、感染後すぐに発症することが多いのが特徴です。
症状の経過については、インフルエンザの症状が出る期間は一般的に5-7日くらいといわれており、症状のピークは大体1-2日程度続きます。
治療薬を使用している場合は、症状の持続期間が1-2日くらい短縮されて「早く治った」と実感されることが多くなります。
ただし、インフルエンザも新型コロナよりも稀ですが、咳やだるさなどが長引くケースがあるため、あまり放置せずに医療機関を受診し、しっかり治療することが重要です。
2.今年のインフルエンザに特徴的な症状と見分け方

2024年特有の胃腸症状
2024年のインフルエンザでは、例年の症状に加えて「胃もたれ・吐き気」といった胃腸の不調を訴える方が多くいます。
従来のインフルエンザというと高熱や頭痛、激しい咳・くしゃみといった症状が特徴でしたが、今年は胃の不快感や吐き気・食欲不振などの消化器症状が目立っています。
感染性の胃腸炎は例年冬に流行しやすいため、胃腸炎かな?と放置してしまう方も多いのですが、高熱や頭痛が伴ったりする場合は、インフルエンザの可能性も高いことを認識する必要があります。
気付かぬうちに、周りにウイルスを移してしまう恐れもありますので、何かしらの症状でお困りの場合は、早めに医療機関で検査するように心がけましょう。
発熱パターンの変化
2024年のインフルエンザでは、例年のように急な発熱が見られるケースもありますが、吐き気や胃の不快感から始まるなど例年とは少し違う症状がでる傾向にあります。
発熱については、依然として84.7%の方が発熱をきたしており、38度~39度の発熱をきたすこともある一方、残りの症例でも37度後半まで発熱があがる例が多いため、ほとんどの症例で熱に関する症状が出てくると考えられています。
特に注目すべきは、インフルエンザの方が新型コロナよりも発熱をきたしやすいという点です。
新型コロナの発熱の割合が74.4%だったのに対し、インフルエンザでは84.7%と高い割合で発熱が見られます。
のどの痛みから始まるケース
2024年のインフルエンザでは、患者によってはのどの痛みから症状があらわれるケースも見られています。
これまでのインフルエンザでは発熱や全身症状から始まることが一般的でしたが、今年はのどの痛みが初期症状として現れる場合があることが報告されています。
のどの痛みから始まると普通の風邪と勘違いしやすく、インフルエンザの診断が遅れる可能性があります。
のどの痛みがあっても、その後に急激な発熱や全身症状が現れた場合は、インフルエンザを疑って早期に医療機関を受診することが重要です。
症状が軽微でも感染力が高い理由
2024年のインフルエンザは症状が軽微な場合でも感染力が非常に高いことが特徴です。
これまでインフルエンザの流行が抑えられていた分、体内に免疫をもっている人が少なくなっているため、一度感染者がでると、どんどん感染爆発してしまう恐れがあります。
特に大人の感染者が例年より急増していることが今年の大きな特徴で、コロナ禍が明けて人が集まる機会が増えたことで、大人同士の接触から感染拡大している可能性があります。
症状が軽くても感染力は変わらないため、少しでも症状がある場合は他の人との接触を避け、マスクの着用や手洗いなどの感染対策を徹底することが重要です。
3.A型・B型・C型の違いと2024年の主流

A型インフルエンザの症状と特徴
A型インフルエンザは3種類の中でもとくに感染力が高く、症状が重くなりやすいのが特徴です。
A型の最大の特徴は急激な高熱で、普通の風邪がじわじわと発症するのに対し、インフルエンザは急激に熱が上がります。
主な症状は以下の通りです:
- 38℃を超える高熱
- 肺炎を含む、深刻な呼吸器系の合併症
- ものを飲み込むのが困難なほどの、のどの痛み
- 関節痛、筋肉痛
- 脳炎、脳症の合併症を引き起こすことがある
A型インフルエンザウイルスは144種類の型(亜型)があり、感染者の体内で変異することから、新型が現れやすい傾向にあります。
そのため一度かかってもまた次の年に感染するといったことが起こりやすく、ヒト以外にも鳥類をはじめとした動物への感染も確認されます。
B型インフルエンザの症状と特徴
B型インフルエンザの症状は、A型より強くない点が特徴です。
B型はA型と比較すると症状が軽く済むことが多い一方で、症状が長引きやすいのが特徴です。
B型の特徴的な症状:
- お腹の風邪の症状に近く、下痢やお腹の痛みを訴える人が多い
- 下痢など消化器症状が出やすく、お腹の風邪(ウイルス性胃腸炎)と症状が似ている
- ウイルス性胃腸炎よりも下痢が長く(3日以上)続く
- 関節痛など全身症状が出る
B型インフルエンザは人と人の間でしか感染せず、A型のように鳥類などに感染するということはありません。
また、B型は遺伝子的に安定しており、変異も少ないためあまり大きな流行は起こしません。
C型インフルエンザの症状と特徴
C型インフルエンザは基本的に一度感染すると免疫がついて再感染することがないとされています。
すでに多くの方が免疫をもっている可能性が高く、それゆえにインフルエンザA型・B型のように爆発的な感染を起こすことがない型です。
C型の症状:
- 発熱、咳、鼻水が主な症状
- 感染者の約6割にこの症状が見られる
- 38℃代の熱が出るが、2日程度で解熱する
- A型、B型と比べて症状は軽い傾向
- 約1割の方に吐き気や下痢、嘔吐、発疹が見られることがある
流行時期は1月〜6月ごろと長いですが、まだ抗体をもっていない子どもで感染が確認されることがあるものの、重篤な症状を起こすことは稀なため、ただの風邪だと思って知らないうちに治っていたというケースも多くあります。
2024年に流行している型と症状の傾向
2024年に流行しているインフルエンザは主にA型とB型です。
国立感染症研究所の病原体サーベイランスによると、2023/24シーズンのインフルエンザウイルス分離・検出報告では、AH3亜型が1,526株、AH1pdm09が783株、B型が44株検出されており、A型が圧倒的に多い状況です。
2024年の流行の特徴として、一般的には「高熱・頭痛」といった症状が最も強く出やすいのがA型ですが、それぞれ亜型も存在するため、数ヶ月前にインフルエンザにかかったという方でも、今流行している型が当時と異なれば、また再度感染する恐れがあります。
C型インフルエンザウイルスの感染が拡大することは稀で、実際の流行はA型・B型が中心となっています。
4.重症化しやすい人の特徴と注意すべき症状

重症化リスクが高い年齢・基礎疾患
インフルエンザにかかると重症化しやすいハイリスクグループがあります。
厚生労働省が示している重症化リスクの高い方は以下の通りです:
- 65歳以上の高齢者
- 妊娠中の女性
- 2歳未満の乳幼児
- 心臓、腎臓、肝臓、呼吸器の慢性疾患がある方
- 糖尿病などの代謝性疾患がある方
- 免疫機能が低下している方
高齢者のインフルエンザ罹患率は若年者に比べて高くないものの、死亡率は低くありません。
リスクが高い高齢者は、予防接種などによりインフルエンザ自体を予防することが大切です。
また、インフルエンザ患者を年齢別にすると、1番罹患率が高いのは5~9歳で次に10~14歳と続き、幼稚園や小中学生の子どもは子ども同士の接触が高いため、インフルエンザにかかりやすいと言えます。
脳症・肺炎などの合併症の兆候
インフルエンザでは重篤な合併症を引き起こすことがあり、早期発見が重要です。
主な合併症:
- 急性脳症:主に小児に発症し、意識障害や痙攣などの症状が現れる
- 肺炎:高齢者や免疫力の低下している方に多く見られる
- 二次性細菌性肺炎:インフルエンザ感染により抵抗力が落ち、細菌に感染して肺炎にかかる
2023/24シーズンの急性脳炎におけるインフルエンザ脳症は、2023年第36週から第52週にかけて114例の報告があり、同時期に報告のなかった2021/22、2022/23シーズンと比較して大きく増加しました。
合併症の兆候として以下の症状に注意が必要です:
- 意識がもうろうとする
- 痙攣を起こす
- 呼吸困難
- 胸の痛み
- 持続する高熱
受診のタイミングと緊急性の判断
インフルエンザが疑われる症状に気づいたら、できるだけ早く医療機関で診察を受けることが重要です。
早期受診のメリット:
- 抗インフルエンザウイルス薬は、インフルエンザ発症から48時間以内に使用すると効果的
- ウイルスの増殖を抑えて、発熱などの症状が消えるのを早める
- 体外に排出されるウイルスの量を減らす効果がある
緊急受診が必要な症状:
- 意識がもうろうとしている
- 痙攣を起こしている
- 呼吸が苦しい
- 水分が取れない状態が続く
- 高熱が3日以上続く
インフルエンザの検査は、現在医療機関では「迅速抗原検出キット」を使う検査が行われており、鼻やのどの粘液を綿棒でぬぐった液や、鼻水を検査すると、5分程度で結果が分かります。
子どもと高齢者の症状の違い
子どもと高齢者では、インフルエンザの症状や重症化のリスクに違いがあります。
子どもの特徴:
- 急性脳症のリスクが高い
- 中耳炎を起こしやすい
- 気管支喘息を誘発することもある
- 高熱により熱性痙攣を起こすことがある
- 症状が急激に変化しやすい
高齢者の特徴:
- 肺炎・気管支炎を起こしやすい
- 症状が非典型的な場合がある
- 脱水症状を起こしやすい
- 重症化して死亡に至るリスクが高い
- 基礎疾患の悪化を招く可能性がある
2024年第1週の年齢別インフルエンザ入院患者報告数では、1歳未満(55例)、1~4歳(135例)から80歳以上(390例)まで幅広い年齢層で入院が必要となっており、特に10歳未満と70歳以上の患者が多くを占めています。
まとめ
2024年のインフルエンザについて理解していただけたでしょうか。今回の記事のポイントをまとめると以下のようになります:
- 2024年のインフルエンザは例年より早期から大流行し、大人の感染者が急増している
- 今年は胃腸症状(吐き気・胃もたれ)が特徴的で、のどの痛みから始まるケースもある
- A型が主流で感染力が強く、症状も重くなりやすい傾向にある
- 高齢者、乳幼児、基礎疾患のある方は重症化リスクが高い
- 発症から48時間以内の早期治療が効果的である
- 急性脳症や肺炎などの合併症に注意が必要である
- 予防接種、手洗い、マスク着用などの基本的な感染対策が重要である
- 症状が軽微でも感染力は高く、早期の医療機関受診が推奨される
インフルエンザは適切な知識と対策により、重症化を防ぐことができる疾患です。今年の特徴を理解し、早期発見・早期治療を心がけて、健康な冬を過ごしましょう。

