あなたは「爪の白い部分が最近増えているような気がする」と思ったことはありませんか?
結論、爪の白い部分が多くなる原因は爪甲剥離症や栄養不足、全身疾患など様々です。
この記事を読むことで爪の白い部分が多くなる原因から適切な対処法、予防方法まで詳しくわかるようになりますよ。
ぜひ最後まで読んでください。
1.爪の白い部分が多い原因とメカニズム
爪甲剥離症による白い部分の拡大
爪甲剥離症は、爪の先端から爪が皮膚から浮き上がり、白く見える状態のことを指します。
本来、爪甲は周りの上皮や結合組織を介して、末節骨としっかり固定されているので、剥がれることはほとんどありません。
しかし何らかの原因によって爪床から爪甲が浮き上がると、部分的に白く見えたり、完全に脱落してしまったりするのです。
爪甲剥離症は、水仕事をする方や女性の方に比較的見られやすい症状です。
剥がれた部分の爪甲を表面から見ると、白や黄色っぽく見える特徴があります。
爪甲剥離症は手足のどちらにも起こる可能性があり、その原因はさまざまです。
爪半月とは何か~正常な白い部分の基本知識
爪の根元にある半月の白っぽい部分は、「爪半月(そうはんげつ)」と呼ばれます。
爪甲は「爪母(そうぼ)」と呼ばれる部分でつくられており、この爪母の付け根の部分にある白い(乳白色)部分が爪半月です。
爪半月は完全に角質化されていないため、色が乳白色になっていると考えられています。
爪半月は生まれつきで決まるものです。
爪半月が見えるか見えないかは、甘皮の位置がどこにあるかが関係しています。
「爪半月の大きさがその人の健康面に関係している」という話を見聞きした人もいるかもしれませんが、医学的根拠はなく、基本的に関連性はありません。
爪甲白斑(白い斑点・線)の特徴
爪甲白斑とは、本来ピンク色である爪甲が白く変化してしまった状態を指します。
爪全体が白くなる、一部に白い線が出る、白い斑点が出るなどさまざまな現れ方をします。
爪甲白斑のタイプは主に以下の4つです:
- 全爪甲白斑:爪甲全体が透明・白色調を呈する
- 爪甲点状白斑:爪に白い斑点ができる
- 爪甲横線条白斑:爪に白い横線ができる
- 爪甲縦線条白斑:爪に白い縦線ができる
爪の白い斑点(爪点状白斑)は、外傷などにより爪の成長に異常が起こることで生じますが、他に症状が見られなければ過度に心配する必要はありません。
外傷や化学物質による爪への影響
爪への外傷や化学物質の接触は、白い部分の増加の大きな原因となります。
爪甲剥離症は、爪と皮膚の間にトゲなどの細いものが刺さるなど、爪への刺激がかかることで引き起こされる可能性があります。
また、マニキュア・除光液・洗剤・ガソリン・有機溶剤などの刺激物によって皮膚炎が生じ、爪甲剥離症の原因となるケースも多いです。
水仕事やマニキュアの除光液を使うことが多い人は爪が乾燥しやすいので、二枚爪になりやすいと言われています。
また、爪切りの間違った使い方で爪に衝撃を与えると、爪が弱くなって二枚爪になりやすいようです。
2.病気が原因で起こる爪の白い症状
鉄欠乏性貧血と爪の白濁の関係
鉄欠乏性貧血は爪の白濁を引き起こす代表的な疾患です。
スプーンのように爪が反り返ってしまうスプーン爪は、鉄欠乏性貧血が原因として挙げられます。
爪は血液の健康状態に影響されやすく、赤血球やヘモグロビンの不足によって爪が白く見えることがあります。
鉄欠乏症貧血や低色素性貧血の疑いがある場合、爪が白く見えることが特徴的です。
二枚爪や爪が割れてしまうのは、爪の乾燥や外部からの衝撃が原因で、栄養不足、加齢、ストレス、鉄欠乏症貧血の場合も考えられます。
肝硬変・腎不全・糖尿病などの全身疾患
線状の白い部分が時間が経っても移動せずに残る場合は全身疾患の可能性が考えられます。
具体的には以下のような疾患が挙げられます:
- 全身のむくみ
- 低アルブミン血症
- 肝硬変
- 腎機能障害
- 栄養不良
白濁した爪は肝硬変や腎不全、糖尿病などの疑いがあります。
爪甲剥離症の原因は全身疾患や皮膚疾患、感染症など、非常に多岐にわたります。
原因によっては自力で治すのが困難なものもあるため、まずは皮膚科などを受診して原因を突き止めることが大切です。
爪白癬(爪水虫)による白い症状
爪白癬(そうはくせん)は俗にいう水虫のことを指します。
カビの一種・白癬菌が足の皮膚から爪の中に侵入することで、爪が濁って見えたり、爪自体が分厚くなってきたりするのが特徴です。
靴の中が蒸れる夏場に発症するイメージがあるかもしれませんが、これからの季節は女性はブーツを履く機会が増えるため、指先を念入りにケアするようにしたいものです。
完治するまでに時間がかかり、再発率が高い点も厄介と言えるでしょう。
黄色い爪の場合、爪水虫や感染症などが疑われます。
亜鉛不足による爪の白い斑点や線
亜鉛不足によって起こりうる爪の症状は多岐にわたります。
亜鉛不足の代表的な爪の症状には以下があげられます:
- 爪に白い斑点や線ができる
- 爪が薄くなる、もろくなる
- 爪の成長が遅くなる
- 爪半月(爪の根本の白い部分)が見えにくくなる
亜鉛は人体にとって欠かせないミネラルであり、細胞分裂や新陳代謝、免疫機能などさまざまな生理機能に関与しています。
そのため、亜鉛が不足すると体の各所に影響が現れますが、特に爪にはその兆候が顕著に表れるのです。
Beau’s線(ボー線)とは「すべての手や足の爪に1本の横筋が現れる線」のことで、亜鉛欠乏や鉄欠乏といった栄養素の不足が原因となることがあります。
3.爪の白い部分が多い時の対処法と治療
皮膚科での診断と検査方法
爪甲剥離症の治療では、まず原因を特定することが大切です。
目立つ外傷などがなければ、爪の剥がれた部分を顕微鏡で確認し、感染症などの疑いがないかを見極めます。
加えて血液検査を行い、甲状腺機能や血液量に異常がないかも見ていきます。
一般的な白い爪の中に潜む「病気が原因の白い爪」を見極めるには「白い爪+αの症状があると要注意」と覚えておくとよいでしょう。
カンジダ菌などの感染が原因で起こる爪甲剥離は、まずは病院にて菌の有無を確認し、感染している場合は薬にて治療する必要があります。
心配な場合は一度病院で菌検査をしてから判断するのをお勧めします。
原因別の治療アプローチ
原因がわかれば、それに応じた治療方針を決めていくのが一般的です。
たとえばカンジダ症の場合は、抗真菌薬の外用もしくは内服で治療が行われるでしょう。
また、全身疾患や皮膚疾患が原因の場合は、原因疾患を適切に治療することで、爪の症状も改善されるケースが多いです。
原因がはっきりわからない場合は、ステロイド薬の塗り薬や保湿剤などによる薬物療法が検討されることが多いです。
原因不明の爪甲剥離症は治りにくいケースも少なくないので、自宅でのネイルケアと並行して根気強く治療を続ける必要があります。
爪甲剥離症の改善方法と注意点
爪甲剥離は起こした爪は、一度剥がれてしまうとくっつくことは基本ありません。
ですが、その爪が伸びていく過程で浮いている部分が先に行き、くっついている部分を増やしていくことは可能となります。
ただし、くっつき始めている場所は剥がれやすくもあるため、日常の爪甲剥離に負担のかからないポイントを守ることが重要です。
まずは、爪甲剥離している場所が引っかからないよう、手元の扱いを注意しなければなりません。
また、無理に浮いている場所を触ったり、細いもので掃除をしたりすることも爪甲剥離を悪化させる原因なのでやめましょう。
爪甲剥離になってしまった場合、なるべく早めに爪の専門家へ相談することをお勧めします。
セルフケアでできる応急処置
爪甲剥離症を防ぐためには、日頃から爪の健康を保つためのセルフケアを行うのが大切です。
爪のセルフケアとして、主に以下のようなものがあります:
- 爪を正しく切る
- 爪をきれいに保つ
- こまめに保湿をする
爪に細菌が入ったり、爪が変形したりするのを防ぐためには、爪を正しく切ることが大切です。
深爪にならないように、皮膚の先端と同じくらいの長さにカットしましょう。
また、爪に汚れが溜まらないように毎日しっかり爪をきれいにし、こまめに保湿をするのも忘れてはなりません。
4.健康な爪を維持する予防法とケア方法
正しい爪切りの方法とタイミング
爪甲には指先や趾先の皮膚を保護する役割があります。
爪を切る時に、爪先にある白い部分を全て切り除いている人をよくみますが、これは間違いです。
爪を短く切っていると指先や趾先の皮膚ががさがさになったり、指先に亀裂(ひびわれ)を生じたりします。
爪が短いために起きる皮膚の荒れや亀裂は塗り薬を塗っても治りませんが、爪を長く伸ばしてやると治癒します。
足の第1趾の場合には、爪甲を短くきるために陥入爪になったりもします。
第1趾の爪甲では趾先端に合わせて真っすぐ横に切り、爪甲の両端を少しカットして丸みを付けるスクエアカットオフという形がよいでしょう。
指の爪甲では指先より短くならないように、指先の形に合わせて丸く切り、爪先の白い部分はすこし残すようにします。
保湿ケアによる爪の健康維持
本来爪は透明ですが、爪の先は乾燥しているため白く見えます。
皮膚に接触している部分の爪は、爪の下の皮膚から水分が供給されているため、半透明になっていてピンク色に見えます。
しかし爪の先は皮膚から水分が供給されていないため、乾燥していて白く見えます。
オイルで保湿をして乾燥を防げば、透明にすることができるのも事実です。
オイルは水分より蒸発(気化)しにくいため、保湿が長続きするからです。
オイルを1日に7回以上塗って保湿をすると、白い部分がだんだん透明に変わっていき、それぞれの爪の状態にもよりますが、早い人では1か月半ほどでクリアネイルにすることができます。
さらに爪を美しくするコツは、オイルを塗るときに爪をもむことです。
バランスの良い食事と栄養摂取
爪甲白斑は栄養不足も原因のひとつなので、バランスの良い食事を心がけて栄養不足にならないようにしましょう。
爪甲白斑、すなわち爪の白濁・白い点・白い線ができる原因として、亜鉛や鉄分、カルシウム、ビタミンなどの栄養不足が考えられます。
体が疲れていたり、睡眠不足だったりすると、爪にも影響が出ます。
前日の疲れが残らないようによく眠ることが重要です。
食事については、自分の体に合っているという感覚があれば、どんな食べ物を食べていても基本的には大丈夫です。
ただし、食事の代わりにダイエット食品だけを摂っていたり、三食のうちの一食にお菓子だけを食べていたりすると、爪の質がもろくなり、折れやすくなることがあります。
マニキュアや除光液の正しい使い方
マニキュアの頻繁な使用、除光液など化学物質に対するアレルギー反応も爪の白い斑点の原因となります。
ジェルネイルやスカルプを頻回に行う場合も爪に負荷がかかるため、爪のコンディションを見て、すこしでも白く浮いている部分があればお休みすることをお勧めします。
爪甲白斑は爪が伸びるといずれ消えるので、気になるかもしれませんが気長に待ちましょう。
どうしても気になるようならマニキュアなどで隠すことも可能ですが、マニキュアやそれを落とす除光液は爪に負担がかかるので、爪が弱っているときは避けるべきです。
健康な爪が伸びやすいように爪甲剥離の起きている爪周りはとくに潤いを保つお手入れが必須となります。
爪は皮膚の仲間ですので、皮膚が潤っていると元気な爪が生えやすくなるため、ジェルとオイルにて水分と油分をしっかり補うことが大切となります。
まとめ
この記事で分かったポイントをまとめます:
• 爪の白い部分が多くなる主な原因は爪甲剥離症、栄養不足、全身疾患である
• 爪半月の大きさは健康状態とは無関係で生まれつき決まる
• 鉄欠乏性貧血や肝硬変、腎不全などの病気が爪の白濁を引き起こすことがある
• 爪白癬(爪水虫)や亜鉛不足も白い症状の原因となる
• 正確な診断には皮膚科での検査が重要である
• 爪甲剥離症は一度剥がれるとくっつかないが改善は可能
• 正しい爪切りでは白い部分を少し残すのがポイント
• 保湿ケアで爪の透明度を高めることができる
• バランスの良い食事と十分な睡眠が爪の健康に重要
• マニキュアや除光液の使い過ぎは爪に負担をかける
爪の白い部分が気になる時は、まず原因を正しく把握することから始めましょう。
適切なケアと生活習慣の改善により、健康で美しい爪を取り戻すことができます。
気になる症状がある場合は、早めに専門医に相談することをお勧めします。
関連サイト
• 日本皮膚科学会 爪の病気Q&A
• 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト